● 発行年月 | 2013年6月刊行 |
● 価格 | 定価 1,540円(税込) |
● 判型 | 四六判 |
● 装丁 | 上製 |
● ページ数 | 191ページ |
● ISBN | 978-4-87290-612-7 |
発達障害にかかわる人すべてに読んでほしい、最新にして最良の解説書。
2006年、奈良県の医師宅放火事件。
「少年を殺人者のままにしておくわけにはいかなかった」
自らの保身を省みず、世論と権力に立ち向かった
児童精神科医が、今こそ伝えたいこと。
2006年、奈良県に住む少年が自宅に放火し、家族が死亡した事件は社会に衝撃を与えた。その後、少年の鑑定医が供述調書を漏らしてとして逮捕されたが、それは鑑定医が、社会や司法の広汎性発達障害への理解のなさから少年の人生を守るため、、強い信念を持って行動した結果だった。本書は、この鑑定医が行動を起こした原点「広汎性発達障害を正しく理解してもらいたい」に焦点をあて、児童精神科医として実績があり、また評価も高い本人自らが、様々な角度から広汎性発達障害を解き明かす一冊である。
発達障害を持つ方は、人口の6%といわれている。本人が生きにくく感じる部分や、家族や周囲の人のとまどいなどは、社会全体が広汎性発達障害を正しく理解することでしか解消されない。本書は、その一助となるものであると考える。
崎濱盛三(さきはま・もりみつ)
精神科医。京都大学医学部卒業後、京大病院精神神経科に入局。その後舞鶴市民病院内科などを経て、2006年から洛和会音羽病院神経精神科に勤務。長年、児童精神医学、発達障害の研究に取り組み、少年事件への造詣も深い。1999年から2007年まで、大津家庭裁判所の医務室技官に非常勤で勤務。裁判所の依頼で、精神障害の関与が疑われる事件などで被告人の精神鑑定を行うほか、医学的見地から裁判官らに助言などを行ってきた。2006年、奈良県に住む少年が自宅に放火、家族が死亡した事件で鑑定医を務めるが、翌2007年、この少年の更生を妨げるゆがんだ報道を正すために行った情報開示をめぐり、秘密漏示罪に問われ有罪判決を受ける。最高裁まで争うが、2012年に上告が棄却される。現在は、洛和会音羽病院神経精神科副部長として、日々臨床を行いながら、児童福祉施設や老人ホームなどへも出向き、診察を行っている。