● 発行年月 | 2004年4月刊行 |
● 価格 | 定価 1,650円(税込) |
● 判型 | 四六判 |
● 装丁 | 並製 |
● ページ数 | 215ページ |
● ISBN | 978-4-87290-187-0 |
「本当に好きなら一緒になるしかない!」
著者自らが沖縄に恋し生涯の伴侶を得たひとり。数年にわたって移住者のもとを訪ね、生活の実像、細やかな心理までを取材。味わい深い写真とともに「癒しの島」の真実を描く、沖縄移住の本格的ノンフィクションです。なんとなく好きな人から、沖縄通いがやめられず本気で移住を考えている人まで
もくじ
序章
恋の病は突然に
第1章 青い海に魅せられ
第2章 すべてを捨てて
第3章 ちむを染める音楽
第4章 やんばるの森に抱かれ
第5章 太陽の島に恋して
序章より
沖縄に一目ぼれしてしまった人は、「もっと知りたい」「もっと過ごしたい」という気持ちに押され、自分の気持ちを確かめようとするかのように、沖縄に向かう。二回三回四回五回と回数を重ね、沖縄のいろいろなことを見たり聞いたり味わったりして、理解を深めてゆく。沖縄と「会話」を重ね、沖縄の「人柄」を知ろうとするかのようである。無意識のうちに沖縄と自分の相性を確認していると見えなくもない。
自分が暮らす地域の市場にさえ行ったことのない人が、沖縄に来たらなぜか那覇市公設市場をうろうろ歩く。狭い筋道を散策したり、道端に咲いているハイビスカスの色に感動したり、古ぼけたそば屋を見つけては感動したりする。陶器になど何の関心もなかったのに、那覇市の壷屋を散策し、壷屋焼きを気に入り、湯飲みなどをつい買ってしまう。それまでは着物にも全く興味がなかったのに、紅型工房や織物工房を訪ねてしまう。お酒を飲めなくても泡盛を買ってしまう。本土で着ようと思って、派手なかりゆしウエアも買う。黒砂糖などのお菓子も買い込む。沖縄をむさぼるのである。
相性がいいとなれば、気持ちは完全に傾く。もはや止まらない。誰にも止められない。沖縄通いの頻度が異様なくらい多くなる。「せっかくの休暇なのだから、まだ行ったことのない場所を旅行したら」という周囲の声に耳を貸さない。なぜなら、沖縄がいいに決まっているからだ。もう沖縄以外にないのだ。「ロミオとジュリエット」を持ち出すまでもなく、好きな人のそばで過ごしたいと思うのは古今東西老若男女人類共通の感情である。好きな沖縄で過ごせば、心が安らぐのである。和やかになるのである。