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生保50年目の落日

生保50年目の落日 生保50年目の落日

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発行年月 1998年8月刊行
価格 定価 1,650円(税込)
判型 四六判
装丁 上製
ページ数 239ページ
ISBN 978-4-87290-028-6
目次

まえがき

序章 ザ・セイホ 1948年体制の崩壊
1.50年目の生保危機
・こうして1948年体制は誕生した
・50年目の「制度疲労」
・日本社、カタカナ社、ひらがな社
2.どの生保会社が生き残るか
・商品別の契約動向はどうなっているか
・プロダクト・ライフサイクルは成熟期
・競合に勝つ決め手は

第1章 97年度決算から何が見えるか
・生保市場縮小の兆し
・日産、東邦、次はどうなる!
・数字が示す生保の真実

第2章 迷走する日本生命
1.ひん発するルール違反、スキャンダル
・ニッセイは日本一が大好き
・古い体質が表れた「裏金疑惑」
・大蔵省接待疑惑に揺れた
2.これがリーディングカンパニーの実像だ
・日本生命の3つの弱み
・コスト削減で、だれが切られる
・ニッセイレディが泣いている
・制度をつくって魂入れず
・犠牲にされる顧客と従業員
3.海図なき航海
・本業回帰は本当か
・不良債権だけが残った
・ホットマネー化ににらみ、投信関連ビジネスを強化
・3つのS
・戦略が見えない
・働く「収穫逓減のメカニズム」
・社内カンパニー制で持ち株式会社の予行練習

第3章 生保の責任が問われた団体保険トラブル
1.団体保険訴訟で何が明らかになったか
・文化シャッター事件の和解が成立
・本人も遺族も保険加入を知らなかった
・目立つオーバーインシュアランス
・遺族にまったく支給しない会社も
・従業員の同意が不可欠
2.問われたのは生保自体だ
・無断で死亡診断書をとっていた
・保険金は会社のものか、遺族のものか
・なぜオーバーシュアランスが生じたか
・安定株主対策の見返りに保険解約
・総合福祉団体定期保険で問題は解決した

第4章 変額保険の甘い罠
1.生保と銀行が仕掛けた罠
・生保・銀行がタッグを組み、変額保険を売りまくった
・600件超える訴訟件数
・変額保険とは何か
・変額保険は銀行の「打ち出の小槌」だった
・相続税対策にもならない
2.首謀者は銀行だ
・被害席に座る生保と銀行
・問えるか、自己責任原則
・説明義務違反が焦点になった
・銀行責任認めた判決も
・大蔵省が被害を拡大させた

第5章 団体年金の苦悩
1.年金マネーの生保離れが進む
・ソニーが生保を外した
・のどもとに突きつけられた刃
・年期制度のしくみ
・企業年金には制度的な欠陥がある
2.生保会社は運用力を強化できるか
・運用期間が選別される
・進む規制緩和
・運用力強化へ、投資顧問業務化を強化
・明治生命とドレスナー銀行の投資顧問が合併

第6章 日産生命、破たんの真相
1.日産生命の悲劇
・銀行マンの耳寄りな話
・「銀行マンにだまされた」
・個人年金の大量販売で急成長
・バブル崩壊で一転、年金保険が重荷に
2.最後にババを引かされたのは契約者だ
・最大72パーセントも保険金をカット
・日本生命が引き受けを拒否
・あおば生命、前途多難のスタート
・米国最大大手AIGがあおば生命買収へ動く
3.狼が檻から出てくる日
・日産生命の破たんから学ぶべきこと
・ビッグバンの再検討が必要
・ディスクロージャーが不十分
・系列代理店を隠れ蓑に
・訴訟トラブルを恐れて先手を打つ

第7章 新規参入企業とも競争が激化
1.GEキャピタル・エジソン生命が誕生
・強力なライバル突如出現
・パイの奪い合いがはじまった
・社名は発明王エジソンにちなんで
2.カタカナ会社が挑む生保イノベーション
・カタナカ会社は個性派ぞろい
・90年代後半になって参入が活発化
・欧米系の生保が増加
・市場の9割近くを占めるアメリカンファミリー生命の「がん保険」
・カタカナ会社の強みは何か
・無配当保険で保険料が安い
・新しい販売チャネルを開拓
3.オリックス生命とソニー生命の明暗
・オリックスが仕掛けた「価格競争」
・ソニー生命襲う前門の虎、後門の狼
・大量採用から厳選採用に
4.新規参入企業の登場ではじまった生保大戦争
・ひらがな会社の実力
・構成員契約が大きな問題に
・保険窓販にらみ、銀行がブローカー子会社を設立

第8章 販売チャネルの行方
1.生保レディの憂鬱
・成熟市場では買い換え需要が中心
・「GNP募集」が通用しなくなった
・入社して2年後には10人中8人が退社
・安易な採用が大量退社を招く
2.プルデンシャル生命の「顧客重視経営」
・単品セールスと設計セールス
・最適の商品を設計
・1件社員と2件社員
・土・日曜日を積極的に活用
・顧客の「オウン・エージェント」に

第9章 危ない生保の見分け方
1.格付けが示す「危ない生保」
・格付け機関は「現代の預言者」
・健全、不健全のボーダーラインはBaa3とBBBマイトリプルAはアリコ・ジャパンだけ
・格付けの評価基準は何か
・格付けは身近な「採点表」
2.経営指標が示す「不健全な生保」
・ソルベンシーマージン比率は「官製の格付け」
・大手、中堅16社のソルベンシーマージン比率
・ソルベンシーマージン比率は信用できるか
・時代に逆行する「原価法」の採用
・「チェメル方式」の積立期間を公表

終章 生保会社、生き残りの条件
・生保会社の半分が消える?
・生保会社は4極化
・「強者の戦略」と「弱者の戦略」
・国際金融コングロマリットが触手

あとがき

著者紹介

沢木 祐介(さわき ゆうすけ)

金融ジャーナリスト。1955年生まれ。
大手生保会社勤務を経て、フリーに。
金融分野で精力的に取材・執筆活動を行っている。