● 発行年月 | 2024年3月刊行 |
● 価格 | 定価 1,760円(税込) |
● 判型 | 四六判 |
● 装丁 | 並製 |
● ページ数 | 176ページ |
● ISBN | 978-4-86621-430-6 |
SFの世界が現実に?
ヒトとAIは共存して変態(メタモルフォーゼ)する?
道具に支配される未来?
人類はこの先、繁栄する? それとも自滅?
「人新世」――
皆さんはこの言葉をご存じでしょうか。
新聞や本、あるいはネットなどで一度は見たことがあるかもしれません。
ジンシンセイ? ヒトシンセイ?
なんて読むの?
そもそもどんな意味の言葉なの?
実はこれ、私たち人類のこれからを左右する重要なキーワード。
だからこそ今、あらゆるジャンルの研究者や芸術家たちが、
こぞって「人新世」をテーマに議論し、制作しているのです。
たったの70年で、私たち人間は地球という天体の姿を劇的に変えてしまいました。
地層には、その痕跡がはっきりと刻まれています。
専門家の間では、人類の活動が地球に影響を及ぼしているこの時代を、
これまでの時代と区別するべきではないかという議論が活発で、
国際学会でさまざまな意見交換がされているところです。
その新しい時代区分の名称が、「人新世」です。
本書では、「人新世」という時代を迎える地球と私たち人間が、
この先いったいどうなっていくのかということを、
ヒトの進化の過程を振り返り、
急速に発展する最新技術とのかかわりに触れ、
さまざまな思想を引きながら未来を展望していきます。
私たちは今、地球史が変わる瞬間に立ち会っているのです。
第Ⅰ部 プロローグ ――地球史とヒトの出現をたどる
第1章 「人新世」は環境危機の時代?
1 人々が「人新世」に魅了されるのはなぜか
2 「人新世」は文化や芸術の世界をも魅了
3 環境の危機が深刻化する「人新世」
4 「人新世」の始まりはいつか
5 私たちは今、地球史の大転換期に立ち会っている
第2章 地球史スケールの気候変動を乗り越えた人類
1 気候変動は過去にもあった
2 地球史の大異変、生物の大量絶滅、何が起きているのか
3 1年間の地球史カレンダー
4 人類の誕生、絶滅危機と気候変動を前にして
5 ひ弱な新人(ホモ・サピエンス)だけが生き残った
第3章 多くの人類が消えてヒトだけが繁栄した理由
1 ホモ・サピエンスの進化
2 何がヒトの進化を加速させたか
3 生物のジーン進化とミーム進化
4 「家畜化」でどう変わるのか
5 「家畜化症候群」と幼形成熟、幼形進化
6 ヒトの自己家畜化現象
7 サピエント・パラドクスの答え
第Ⅱ部 展開編 ――人間拡張のゆくえ
第4章 文明・文化によってヒトから人間へ
1 脳の能力の拡張とは?
2 文化がヒトを進化させた?
3 「私」の中に刷り込まれているヒトの歴史・文化
4 危うい土台の上に成り立つ人間社会
5 現代社会を生きる困難さとSociety 5.0
第5章 ヒトからポストヒューマンへ
1 近未来からの人間への問いかけ
2 道具はヒトをどう変えるか
3 人形が語りかけるもの
4 能力の拡張は心にどう影響するか
5 世界の拡張とポストヒューマンのゆくえ
6 脱人間化の行く先 ――テクニウム、クトゥルー新世
7 未来を語る一方で直視すべき現実
8 人間が操られる新・家畜化社会?
第6章 「人新世」の落とし穴?
1 ホモ・サピエンスの行く先
2 未来に出現する「ホモ・デウス」とは?
3 不確定な未来を予測する手がかり
4 サピエンス減少という衝撃
5 サピエンス減少前に地球大破局(ジオ・カタストロフィ)がくる?
6 「資本」とテクノロジーの民主化
7 「人新世」の本当のリスク
8 遠未来にサピエンスが迎える3つの展開
第Ⅲ部 エピローグ ――「人新世」の未来